「デリケートゾーンがかゆいけど病院に行くのは恥ずかしい」「毎日清潔にしているのに、1週間以上もかゆみが治まらない」….そんなふうに悩んでいませんか?
デリケートゾーン(外陰部)のかゆみは、誰にでも起こりうる身近な不調の一つです。
しかし、それが1週間以上も続いているとなると、「何かの病気では?」と不安になるのも当然です。
この記事では、産婦人科医かつ心理カウンセラーの視点から、外陰部のかゆみが長引く原因や対処法を、誰にでもわかりやすく、丁寧にお伝えしていきます。
「病気かも…」「人に言えない…」そんな不安を抱えているあなたのために、一緒に体と心の声に耳を傾けていきましょう。
外陰部のかゆみ、なぜ起こるの?
デリケートゾーンのかゆみは、皮膚の乾燥やかぶれといった軽度のものから、感染症など医療的な治療が必要なケースまでさまざまです。
以下は、よくある原因の一部です。
肌トラブル(乾燥・かぶれ・摩擦)
- 下着やナプキンの素材による刺激
- ボディソープや洗浄のしすぎによる乾燥
- トイレットペーパーの繊維による摩擦
これらの物理的刺激がかゆみの原因となることがあります。
特に、毎日の洗浄で皮脂膜が失われると、バリア機能が弱まり、かゆみが起きやすくなります。
カンジダ膣炎
膣内の常在菌バランスが崩れ、カンジダという真菌(カビの一種)が増えることで起こる感染症です。
【主な症状】
- 強いかゆみ
- 白くポロポロしたおりもの
- ヒリヒリする痛み
抗真菌薬による治療が必要です。 再発しやすいので、しっかり治療を受けましょう。
トリコモナス膣炎
性行為によって感染する性感染症のひとつです。
【主な症状】
- 黄緑色や泡状のおりもの
- 悪臭
- 強いかゆみや灼熱感
パートナーも一緒に治療することが大切です。
アレルギー反応
新しい洗剤や柔軟剤、デリケートゾーン用の石鹸、香料付きナプキンなどに反応してかゆみが出る場合もあります。
「最近、何か変えたものがあるかな?」と振り返ってみてください。
萎縮性膣炎(閉経後の女性に多い)
女性ホルモンの減少により、膣や外陰部が薄くなり、乾燥やかゆみ、出血などが起こることがあります。
50代以降の女性に多く見られるため、閉経後にかゆみが出た場合は、この可能性も考えられます。
かゆみが1週間以上続いているときのチェックポイント
かゆみが長引く場合、次のような症状があるかを確認してみましょう。
- おりものの色やにおいがいつもと違う
- 腫れや赤み、ただれがある
- 排尿時にしみる・痛い
- 性交時に痛みを感じる
- 掻き壊してしまっている
これらの症状がある場合、自己判断ではなく婦人科での診察が必要です。
市販薬やセルフケアで様子を見るのはOK?
軽度のかぶれや乾燥であれば、ワセリンや市販の外用薬で改善することもあります。
ただし、症状が1週間以上改善しない場合は、自己判断による薬の使用は控え、早めの受診をおすすめします。
「恥ずかしい」と思うかもしれませんが、婦人科ではよくある相談内容のひとつ。
婦人科に行くのが不安な人は多いですが、通常はきちんと配慮しながら診察してくれます。
受診の目安と診察で何をするの?
以下のような場合は、必ず婦人科を受診しましょう。
- かゆみが1週間以上続く
- 掻いてもおさまらない
- おりものに異常がある
- においや痛みを伴う
- 繰り返し症状が出る
婦人科では、問診と診察、必要に応じておりものの検査などが行われます。
痛みを伴う検査は少なく、短時間で終わることがほとんどです。
かゆみを防ぐ日常生活の工夫
再発を防ぐためには、毎日のケアや習慣がとても大切です。
清潔を保つ
- 石けんは使いすぎない(必要最低限でOK)
- 洗いすぎは逆効果
- シャワー後はしっかり乾かす
下着の見直し
- 通気性のよい綿素材がおすすめ
- 締め付けの強いショーツは避ける
ストレスとホルモンバランスの関係
- ストレスは免疫を低下させ、常在菌バランスを乱す原因に
- 睡眠・食事・休息を意識的に整えて
最後に:かゆみは我慢しなくていい
デリケートゾーンの悩みは、人には相談しづらく、つい我慢してしまう方も多いものです。
でも、かゆみは体からの大事なサイン。 1週間以上続くなら、迷わず婦人科に相談してください。
あなたの体は、あなた自身が一番大切にしてあげるべき存在です。
恥ずかしさよりも「安心できる毎日」のために、一歩踏み出してみませんか?あなたの心と体が、健やかでありますように。