性交中に体位を変えると「痛い」と感じたことはありませんか?
自分だけおかしいのではないか、パートナーに伝えづらい、病気なのでは?、、、そう感じて不安になっている方も多いはずです。
性交痛(せいこうつう)は決して珍しいことではなく、体位による刺激の違いや体の状態によって、多くの女性が経験しています。
このページでは、産婦人科医かつ心理カウンセラーの立場から、性交時に体位によって痛みが出る原因と、その対処法をやさしく解説していきます。
なぜ体位で痛みが出るの?
性交痛にはいくつかの種類がありますが、体位によって痛みが出る場合、以下のような原因が考えられます。
膣の深さと角度の問題
膣の奥にある子宮やその周囲の臓器は、体位によって刺激されやすくなります。
後背位(バック)や深い挿入が可能な体位では、膣の奥が突かれて痛みを感じやすくなります。
個人差もありますが、膣は角度が少しカーブしているため、体位によってはそのカーブを無理に伸ばす形になり、痛みの原因になります。
潤滑不足(乾燥)
体がリラックスしておらず、自然な潤滑が十分でないと、挿入時に摩擦が生じ、体位によっては強い不快感や痛みになります。
これはホルモンバランスの影響、緊張、ストレスによっても起こります。
骨盤内の炎症や疾患
子宮内膜症や卵巣のう腫、骨盤内炎症性疾患(PID)などがある場合、性交中の刺激によって深部に痛みが生じることがあります。
体位によって、炎症部位が直接刺激されることで痛みが強くなることもあります。
心理的な要因
「痛いかもしれない」という不安が強いと、体に自然と力が入り、膣や骨盤底筋が緊張します。
この緊張が、実際の痛みを強めてしまうことがあります。
痛みを感じやすい体位とは?
どんな体位が痛みを引き起こしやすいのかも知っておくと、自分の体と向き合いやすくなります。
後背位(バック)
膣の奥に深く挿入されやすいため、子宮や直腸に近い場所が刺激されて痛みを感じる人が多いです。
特に子宮が後ろ向きに傾いている「後屈子宮」の方は、この体位で痛みが出やすい傾向があります。
騎乗位(女性が上)
自分で挿入の深さを調整できますが、膣の角度や筋肉の使い方によっては痛みを感じる場合もあります。
体の状態や筋肉の緊張度も影響します。
対面座位
パートナーとの距離が近く、深く挿入されやすい体位のひとつです。
安心感は得やすいものの、奥が突かれるような刺激が苦手な方には不向きなこともあります。
痛みを和らげる対処法
自宅でできる簡単な対策から、医療機関の受診までをご紹介します。
無理せず、痛みのない体位を選ぶ
自分の体に合った体位を選ぶことが、もっとも大切なポイントです。
痛みが出やすい体位を避け、刺激の浅い体位(側臥位や正常位)を試してみましょう。
潤滑ゼリーの使用
市販の潤滑ゼリーを使用することで、摩擦を減らし、痛みを和らげることができます。
無香料・低刺激の製品を選ぶのが安心です。
リラックスできる雰囲気作り
緊張やストレスが痛みを悪化させることがあるため、心身がリラックスした状態を作ることが重要です。
- 照明を落とす
- 好きな音楽を流す
- 会話で安心感を得る
といった工夫も役立ちます。
医療機関への相談
痛みが続く、日常生活に支障がある、不安が強いときは、産婦人科を受診してください。
検査で子宮や卵巣などの病気が見つかることもあります。恥ずかしさや遠慮は無用です。
専門家に相談することで、体も心も楽になります。
パートナーとのコミュニケーション
「痛みがある」とパートナーに伝えることもとても大切です。お互いの信頼関係が深まり、安心して性と向き合うことができます。
「どこが痛かったか」「どの体位がつらかったか」を、少しずつ話してみましょう。
痛みは「異常」ではないことも多い
性交時の痛みは、決して「おかしい」「我慢すべき」ことではありません。
- ホルモンの影響
- ストレス
- その日の体調
さまざまな要因で、体は敏感になります。
それは「あなたが弱いから」ではなく、「体が教えてくれているサイン」かもしれません。
まずはその声を聞き、無理せずできることからはじめてみましょう。
まとめ
性交時の痛みが体位によって違うのは、ごく自然なことです。
だからこそ、痛みを否定せず、自分の体に合ったペースと方法で対処することが大切です。
このページが、少しでもあなたの「不安」を「安心」に変える手助けになればうれしいです。
あなたの体と心に、やさしく寄り添っていきましょう。