「恋愛って、必ず性行為が含まれていないと成立しないの?」そんな疑問や不安を抱えたことはありませんか?
近年、「性に対する価値観」は人それぞれであるという認識が少しずつ広まってきました。
しかし、世間や周囲の声が「性的な関係=恋愛の証」とする風潮をつくりがちで、心苦しく感じている人も少なくありません。
この記事では、産婦人科医であり心理カウンセラーでもある筆者が、「性的関係がない恋愛」について、身体と心の両面からわかりやすく解説します。
あなたの不安が少しでも和らぎ、自信を持って「自分の大切なかたちの恋愛」を肯定できるよう、丁寧にお伝えしていきます。
性的関係がない恋愛は成立する?
恋愛の定義は人それぞれ
恋愛に絶対的な「定義」はありません。
「手をつなぐだけで幸せ」「一緒に話す時間がなにより大切」――そんな関係も立派な恋愛です。
恋愛=性的な関係があること、という固定観念に苦しむ必要はありません。
恋愛感情と性的欲求は別のもの
恋愛感情と性欲は、似ているようでまったく違う感情です。
誰かを好きになるけれど、身体的な接触は求めない。そうした感覚を持つ人もたくさんいます。
アセクシュアル(無性愛)やデミセクシュアル(深い絆を持った相手にしか性的欲求を感じない)といった性的指向も、最近では少しずつ理解され始めています。
性的な関係がない=愛されてないという不安
社会的なプレッシャーに苦しまないで
ドラマや映画、SNSでは「恋愛=キスやセックス」が当然のように描かれることが多く、「それがない自分は異常なのでは」と感じてしまうこともあります。
ですが、それはあくまで一つの表現方法。大切なのは、あなた自身がどう感じ、どう生きたいかです。
パートナーと気持ちを共有する
恋人がいる場合、「性的関係を持たない恋愛を望んでいる」と率直に伝えることはとても大切です。
相手があなたを大切に思っているなら、きっと真剣に向き合ってくれるはずです。
性的関係がない恋愛の魅力と深さ
心のつながりを深める時間
性に依存しない関係では、「会話」や「共感」、「信頼」といった心の交流がより重要になります。
その結果、深く安心できる関係性が育ちやすくなる傾向があります。
無理のない関係性が築ける
「嫌なのに応じなきゃ」「求められているから応えなきゃ」という気持ちは、心にも身体にも負担を与えます。
性的な関係を前提としない恋愛は、無理のない、自分らしいペースで関係を築いていけます。
こんな恋愛の形もある:実例と声
パートナーと話し合いながら築く恋愛
ある女性は「恋人に『性行為が苦手』と正直に伝えたところ、『一緒にいる時間が何より幸せ』と言ってくれた」と語ります。
このように、理解し合える関係は実在します。
セクシュアルマイノリティとしての自分を認める
性に対する欲求の少なさや無さを、自分でも「変かも」と思っていたけれど、同じような人がいることを知って安心できた、という声も少なくありません。
性的な関係がない恋愛に向いている考え方
自分の価値観を大切にする
「こうあるべき」という恋愛観に縛られず、「自分にとって心地よい関係とは何か?」をじっくり考えることが大切です。
相手との違いを尊重する
たとえ相手が性に重きを置くタイプであっても、歩み寄りや理解が可能であれば、関係は成立します。
大事なのは「一致」ではなく「尊重」です。
誰かと比べない、自分らしい恋愛を
SNSのイメージに惑わされないで
SNSやメディアでよく見る「理想の恋愛像」は、あくまでその人の価値観の反映です。
あなたの恋愛は、あなた自身が主役です。
恋愛は「誰かを大切に思う気持ち」
性があってもなくても、「あなたを大切にしたい」という気持ちがあれば、それは間違いなく恋愛です。
さいごに
「性的な関係がないと恋愛じゃない」と思い込む必要は全くありません。
あなたの感じていることは、決しておかしくない。
無理に変わる必要もありません。大切なのは、「自分がどうありたいか」。
あなたがあなたらしくいられる恋愛を、ゆっくりと育てていきましょう。
誰かと深くつながりたいと願うその気持ちは、十分に尊く愛おしいものです。