性行為後のおりものの変化…茶色や白色になったり増えたりする

性行為のあとにおりものが増えた、茶色や白っぽいおりものが出て心配….これって妊娠?病気?と不安を抱えていませんか?

おりものは女性の体調を映す鏡とも言える大切なサインです。 性行為のあとに変化があると不安になりますが、必ずしも異常とは限りません。

この記事では産婦人科医の立場から、 性行為後のおりものの変化とその原因、安全な場合・危険な場合の見分け方、適切な対処法までをわかりやすく徹底的に解説します。

おりものは体のバロメーター

おりもの(膣分泌液)は、膣内を潤し、細菌やウイルスの侵入を防ぐ重要な役割があります。健康なときのおりものの特徴を以下に示します。

  • 透明〜乳白色
  • とろみがある、またはサラッとしている
  • 無臭または酸味のある弱いにおい(乳酸菌由来)
  • 月経周期や年齢・体調で自然に変化する

性行為やホルモンの影響でも変化はごく自然です。 ただし「いつもと違う」「違和感が強い」場合は注意が必要です。

性行為後に起こるよくある変化

  • 性交刺激による膣粘膜からの分泌増加
  • 精液・潤滑剤との混ざりによる変化
  • 排卵期や月経前後のホルモン変動に重なることによる変化

具体的な変化例:

  • おりものの量が増える(1.5〜2倍程度増えることも)
  • 少し粘り気や糸を引くような質感になる
  • クリーム色〜白っぽい色になる
  • 茶色やうすいピンク色がわずかに混ざる

これらは通常24〜72時間で自然に落ち着くケースが大半です。

茶色のおりものの原因

  • 性交時の軽い膣内の傷 → 膣の奥(子宮頸部など)が軽く擦れて出血する
  • 排卵期の排卵出血 → 排卵に伴うホルモン変化で少量出血する
  • 生理直後・直前 → 古い血液が排出される(黒っぽい茶色になることも)
  • 妊娠初期の着床出血 → 性交後5〜10日前後に起こる少量出血

量が少なく1〜3日で止まれば様子見でOK。ただし量が増える・腹痛がある場合は婦人科受診を。

白色・クリーム色のおりものの原因

  • 性交刺激による膣分泌液と精液が混ざった場合 → さらっとした白色〜乳白色
  • 排卵期(エストロゲン優位) → 生卵白のように伸びる透明感のあるおりもの
  • 黄体期(プロゲステロン優位) → クリーム色・ねっとり系

匂いが普段通りでかゆみ・痛みがなければ自然な変化。

おりものが増える・量が多いとき

  • 性交による摩擦刺激(潤滑剤未使用だと増えやすい)
  • 妊娠初期(プロゲステロン増加による分泌増加)
  • 子宮頸管炎や性感染症初期(量は多いが自覚症状が少ない場合も)

「多い+匂い・かゆみ・色の異常」の場合は要受診。

病気が疑われる危険なおりものの

クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV/エイズ、膣トリコモナス症、細菌性腟症、膣カンジダ症

  • 黄緑色・灰色・泡立つ・悪臭 → トリコモナス膣炎、細菌性膣症
  • 白くポロポロ・かゆみ・ヒリヒリ → カンジダ膣炎
  • 黄色・膿っぽい・性交痛・腹痛 → クラミジア感染症・淋菌感染症
  • 血が混じる・悪臭・下腹部痛 → 子宮頸管炎・子宮内膜炎

白いおりもの、黄色~緑色のおりもの、ピンク色のおりもの、茶色・赤色のおりものなどの特徴(正常か病気か)

妊娠との関係と見極め方

  • 性交後1週間〜10日以内にうす茶色・ピンクおりもの(着床出血の可能性)
  • 妊娠初期は白くさらっとしたおりもの増加(プロゲステロンの影響)
  • 性交後3週間で妊娠検査薬使用を推奨(正確性が高い)

性交後のおりもの…どう対処すればいい?

  • 性交直後は外陰部・膣周囲をぬるま湯で軽く洗浄
  • 通気性の良い綿素材の下着を使う
  • パンティライナーはこまめに交換(蒸れ防止)
  • デリケートゾーン専用ソープ使用(普通のボディソープは避ける)

婦人科受診の流れと検査内容

  • 問診(性交歴・おりものの変化・症状)
  • 内診(膣鏡診察)
  • おりもの検査(顕微鏡・培養・性感染症検査)
  • 超音波検査(子宮・卵巣の状態確認)

検査は痛みが少なく短時間で終わります。

パートナーと相談する際のコツと伝え方

  • 「自分の体のことを大事にしたい」という前向きな姿勢で伝える
  • 匂いや出血に気づいたときはパートナーにも共有する
  • 「一緒に検査を受けよう」と協力的な提案をする

性に関する不安は2人で共有することが安心への近道です。

まとめ

性行為後のおりものの変化は多くの場合自然な反応ですが、異常のサインを見逃さないことが大切です。

「おかしいな」と思ったら恥ずかしがらず相談を。

おりものは自分の体を守る大切なバロメーター。 自分の体に優しく気づき、必要なら早めに医師のサポートを受けましょう。