性行為で奥(子宮)が痛い、性行為後もお腹の痛みがある場合の原因と対策

性行為中や性行為後に下腹部や膣の奥に痛みを感じることは、多くの女性が経験する悩みです。

このような痛みは「ディスパレウニア(性交痛)」と呼ばれ、さまざまな原因から起こる可能性があります。

この記事では、性行為時の痛みの原因と対処法について、わかりやすく解説します。

性行為で奥が痛くなる一般的な原因

膣の潤い不足

性行為の際に膣が十分に潤っていないと、摩擦によって痛みが生じることがあります。潤いが足りない主な理由には以下のようなものがあります:

十分な前戯がない

性的な興奮が十分に高まる前に挿入を始めると、女性の体は自然な潤いを十分に作り出せていない可能性があります。前戯は身体的・心理的に準備するための大切な時間で、キスやタッチ、オーラルセックスなどを通じて膣の潤いが自然に増えていきます。個人差がありますが、多くの女性は10〜20分程度の前戯で十分な潤いが得られるようになります。

ストレスや緊張

日常的なストレスや性行為への不安・緊張は、身体を「緊急モード」にし、性的な反応を抑制します。交感神経が優位になると血流が制限され、その結果、膣の潤いも減少します。リラックスした状態で副交感神経が優位になると、血流が増加し自然な潤いも促進されます。

ホルモンバランスの変化

エストロゲンは膣の潤いに直接関係するホルモンです。以下の状況ではエストロゲンレベルが低下することがあります:

  • 生理前後や排卵期などの生理周期による変動
  • 妊娠中や授乳期
  • 出産後の回復期間
  • 更年期や閉経後(最も顕著な変化が現れる時期)
  • 特定の避妊薬の使用

特定の薬の副作用

いくつかの薬は膣の乾燥を引き起こす副作用があります:

  • 抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
  • 一部の抗うつ剤
  • 血圧を下げる薬
  • ホルモン治療薬
  • 特定の避妊薬

これらの薬を服用している場合は、医師に相談することで代替薬や対処法が見つかることもあります。

水分不足

体全体の水分バランスは粘膜の潤いにも影響します。十分な水分摂取は、膣の粘膜を含む全身の粘膜の健康をサポートします。成人女性は一日に約2リットルの水分摂取が推奨されていますが、運動量や気候、体格によって必要量は変わります。

体位による問題

いくつかの体位では、ペニスが子宮頸部に当たりやすくなります。特に、女性が仰向けに寝て足を高く上げる体位や、後ろからの体位では、奥まで入りやすくなり、痛みを感じることがあります。

骨盤の筋肉の緊張

骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が過度に緊張していると、性行為中に痛みを感じることがあります。これは「膣けいれん」とも呼ばれ、無意識のうちに膣の筋肉が硬くなってしまう状態です。

アレルギー反応

コンドームのラテックスや潤滑剤、女性用衛生用品などに含まれる成分にアレルギーがある場合、膣の炎症や痛みの原因になることがあります。

病気が関係している可能性がある場合

感染症

クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、HIV/エイズ、膣トリコモナス症、細菌性腟症、膣カンジダ症

性感染症(STI)や膣カンジダ症(膣のカビ感染)、細菌性膣症などの感染症は、性行為中の痛みの原因になることがあります。

代表的な症状:

  • かゆみや灼熱感
  • 通常と異なるおりもの
  • 排尿時の痛み
  • 性行為時の痛み

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮の内側にある「子宮内膜」と同じような組織が、子宮の外側に発生する病気です。この病気があると、特に生理前後の性行為で強い痛みを感じることがあります。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。大きさや場所によっては、性行為中に痛みを感じることがあります。

骨盤内炎症性疾患(PID)

卵管や卵巣、子宮などの生殖器官に炎症が起きる病気です。性行為で痛みを感じるだけでなく、下腹部の痛みや発熱などの症状が現れることもあります。

膀胱炎や尿路感染症

膀胱や尿道に炎症が起きると、性行為中や性行為後に痛みを感じることがあります。頻尿や排尿時の痛みを伴うことが多いです。

心理的な要因による痛み

過去のトラウマ

過去に性的な虐待や暴力を経験した場合、そのトラウマが原因で性行為中に痛みや不快感を感じることがあります。

不安やストレス

性行為に対する不安や緊張、パートナーとの関係の問題、日常的なストレスなどが、体の緊張を引き起こし、痛みの原因になることがあります。

性行為に対する恐怖(痛みの悪循環)

一度痛みを経験すると、「また痛いかもしれない」という恐怖から身体がさらに緊張し、実際に痛みが生じるという悪循環に陥ることがあります。

痛みを和らげるための対策

十分な潤滑を確保する

  • 十分な前戯の時間を取る
  • 水性の潤滑ゼリーを使用する(油性のものはコンドームを傷める可能性があるので注意)
  • こまめに水分を取って体の潤いを保つ

コミュニケーションを大切にする

  • 痛みを感じたら、すぐにパートナーに伝える
  • 快適な体位や動きについて話し合う
  • お互いの気持ちや体調に配慮する

リラックスする方法を見つける

  • 性行為の前にリラックスできる時間を作る(お風呂に入る、マッサージをするなど)
  • 呼吸法や軽い瞑想を試してみる
  • 無理をしない、焦らない

体位を工夫する

  • 自分でペースや深さをコントロールできる体位(女性上位など)を試す
  • クッションを使って角度を調整する
  • 痛みを感じにくい体位を見つける

骨盤底筋のケア

  • 骨盤底筋を意識的に緩める練習をする
  • 専門家の指導のもと、適切な骨盤底筋のエクササイズを行う

アレルギー反応を避ける

  • ラテックスアレルギーがある場合は、ポリウレタン製のコンドームを使用する
  • 香料や添加物の少ない潤滑剤を選ぶ
  • 新しい製品を使う前にパッチテストを行う

医師に相談すべきタイミング

以下のような場合は、婦人科医に相談することをおすすめします:

  • 痛みが続く、または悪化する
  • 性行為以外でも痛みがある
  • 出血や異常なおりものがある
  • 発熱や強い腹痛がある
  • 排尿時に痛みや不快感がある
  • 自己対処で改善しない

医師との相談は恥ずかしいと感じるかもしれませんが、適切な診断と治療を受けることで、多くの場合、症状は改善します。診察では、問診や内診、必要に応じて超音波検査などが行われることがあります。

まとめ

性行為での痛みには、様々な原因があります。一時的なものから、医学的な治療が必要なものまで、その範囲は広いです。

性行為は、お互いにとって心地よく楽しい体験であるべきです。痛みがあるときは、それを無視せず、原因を理解し、適切に対処することが大切です。

自分の体と向き合い、必要なケアを行うことで、多くの場合、性行為時の痛みは改善します。しかし、症状が続く場合は、専門家による適切な診断と治療を受けることをためらわないでください。

あなたの健康と幸せな性生活のために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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