茶色いおりものは、女性の体からのサインのひとつ。だけど、「病気なのかな?」「婦人科に行った方がいいのかな?」と、ひとりで悩んでしまうこともあると思います。
この記事では、産婦人科医であり心理カウンセラーの立場から、茶色いおりものの原因と見分け方、どんな時に受診すべきかをやさしく解説します。
かゆみ・におい・おりものの状態(粘り気、量など)に注目することで、ご自身の体の声に気づけるようになります。
不安を安心に変えるために、いっしょに読み進めていきましょう。
茶色いおりものってどういう状態?
おりものは、膣内を清潔に保ったり、排卵時期を知らせたりする大切な役割があります。
通常は透明〜白っぽい色をしていて、においもほとんど感じないのが一般的です。
茶色く見えるのは、古い血液が混じっているから。血液が体内で酸化すると、赤から茶色へと変化します。
では、どんなときに茶色いおりものが出るのでしょうか?
茶色いおりものが出る主な原因と特徴
生理の前後に出るケース(心配なし)
生理の始まりや終わりに、少量の出血が混じることで茶色く見えることがあります。これは体の自然な現象で、基本的に心配は不要です。
特徴:
- においはあまり強くない
- 粘り気があることも
- 生理の1〜2日前、または生理後1週間以内に出る
排卵期出血(軽度なものは問題なし)
排卵期にごく少量の出血が起きることがあります。これが酸化して茶色く見える場合も。
特徴:
- 排卵期(生理後10〜14日頃)に見られる
- 少量で数日で止まる
- 他に痛みやかゆみがなければ心配いらない
ホルモンバランスの乱れ
ストレスや生活習慣の乱れ、過度なダイエットなどでホルモンバランスが崩れると、排卵や月経周期に影響し、不正出血として茶色いおりものが出ることがあります。
特徴:
- 生理と関係のないタイミングで出る
- 周期が不安定
- 他に眠気、イライラ、ニキビなどPMS症状が出やすい
子宮頸がんやポリープなどの疾患
まれにですが、子宮頸部に異常がある場合、接触出血や不正出血の形でおりものに血が混ざり、茶色く見えることがあります。
特徴:
- セックス後に出血することがある
- においが気になる
- 茶色いおりものが長期間続く
- 40代以上に多いが若年層でも可能性あり
性感染症(クラミジア・淋菌など)
性感染症のひとつであるクラミジア感染症などでは、茶色いおりものが出ることがあります。
特徴:
- においが強くなる(ツンとしたにおい)
- かゆみ、痛み、発熱などがある
- 性交痛を感じることも
- パートナーと避妊していない場合や複数パートナーがいる場合は要注意
妊娠初期出血
妊娠初期に、受精卵が子宮内膜に着床する際に軽い出血が起こることがあり、それが茶色く見えることがあります。
特徴:
- 生理予定日の前後
- 出血が少量で数日続く
- 微熱や体のだるさ、乳房の張りなどがある
- 「妊娠かも?」と思ったら検査薬で確認を
かゆみ・におい・性状で見分けるチェックポイント
おりものの「色」だけでなく、他のサインにも注目することで、原因をより正確に見分けやすくなります。
においがあるか?
- 酸っぱい→通常の範囲
- ツンとしたにおい、腐敗臭→感染症や細菌性膣炎の可能性
かゆみや痛みがあるか?
- 強いかゆみがある→カンジダやトリコモナスの可能性
- 性交時に痛みがある→膣炎や感染症の可能性
おりものの性状(状態)
- 粘り気が強い、ドロッとしている→生理前後、排卵期
- 水っぽい、泡立っている→感染症の可能性
茶色いおりものが数日〜1週間以上続くときの対処法
1日や2日程度なら自然なこともありますが、数日以上続く場合は体からのサインと受け止めて対処しましょう。
まずは様子を見る(明らかに体調に変化がなければ)
- 生理の前後や排卵期であれば数日でおさまることが多い
- 無理に自己判断せず、基礎体温を記録してみるのもおすすめ
気になる症状があるときは婦人科へ
- 強いにおいやかゆみがある
- 1週間以上続いている
- 生理のリズムが乱れている
- セックス後の出血がある
どれか一つでも当てはまるなら、婦人科での相談をおすすめします。
婦人科に行くのが恥ずかしい…そんなときは?
「婦人科って入りにくい……」 「こんなことで受診していいの?」
そんな気持ちはよくわかります。
でも、実際に婦人科を訪れる方の多くが「ちょっとした変化」を感じたからこそ受診しています。
あなたの不安や疑問にしっかり耳を傾けてくれる医師はたくさんいます。
生理やおりものの変化は、“自分を大事にするサイン”です。
一歩踏み出すことで、安心できる日常が戻ってくるかもしれません。
まとめ
おりものの色やにおいは、体からの大切なメッセージ。
茶色いおりものが続くと不安になるかもしれませんが、その背景にはさまざまな理由があります。
生理の一部として自然なものから、ホルモンバランスの乱れ、感染症、疾患まで。
「おかしいな」と感じたら、まずは自分の体と向き合い、必要に応じて専門家の力を借りる勇気を持ちましょう。
あなたの体は、あなたの味方。心配しすぎず、でも見過ごさず、やさしくケアしていきましょう。