「自分の性癖を彼氏・彼女に言えない」 「嫌われるかもしれない、引かれるかもしれない」、そんな不安で胸がいっぱいになる方は意外に多いものです。
性癖に関する悩みはとてもデリケートで、誰かに話す勇気が必要です。しかし、無理に抑え込んで苦しむ必要はありません。
この記事では、産婦人科医であり心理カウンセラーでもある立場から、「自分の性癖をどう受け止め、パートナーにどう伝えればよいか」を優しく具体的に解説します。
あなたが少しでも心を軽くし、自分を責めずにパートナーとより良い関係を築けるようにサポートします。
性癖をカミングアウトする不安の正体
「受け入れてもらえないかも」の怖さ
- 嫌われる、拒絶されるかもしれない恐れ
- 軽蔑される、人格否定される不安
- 関係が壊れるかもしれない心配
これらは「自分の大切な部分を否定されたくない」という防衛本能から生まれています。
実際、性癖はその人の深い部分に根ざすため「自分そのもの」と感じやすく、拒否されると「自分を全否定された」と感じてしまいがちです。
カミングアウトに失敗しやすいケース
- 付き合いが浅く信頼関係ができていない
- 相手の価値観や考え方をよく知らない
- タイミングや方法を間違える
これらを避けることでリスクを減らせます。
また「自己否定感が強すぎるとき」や「性癖への罪悪感が大きすぎるとき」も伝え方が攻撃的・防衛的になりやすく注意が必要です。
自分の性癖を受け止め直す
自分自身を理解するワーク
カミングアウト前に「自分はなぜこの性癖を持っているのか」を理解すると、落ち着いて話せます。
具体例:
- 初めて興奮したのはいつ?(例:10代の頃、映画の特定シーンで)
- その時の気持ちは?(例:ドキドキ、安心感)
- 性癖を通じて得られる感情は?(例:支配されることで安心する)
この振り返りにより「単なる変わった趣味」ではなく「自分に必要な心の栄養」と理解でき、罪悪感が減ります。
さらに「性癖が強まった時期」や「それに頼りがちになった時期」を振り返ると、ストレスや寂しさ、不安を補う役割だったことも見えてきます。
カミングアウトするタイミングと方法
タイミング
- 2人の信頼関係が深まり「何でも話せる」感覚があるとき
- 2人とも心身ともに落ち着いていて余裕があるとき
- 性的な場面ではなく、日常会話で自然に話せそうなとき
具体例:
- 旅行帰りの帰路でリラックスしているとき
- 「最近気になることをお互いに話す」という雑談の流れ
- 深夜の穏やかな会話の中で自然に切り出す
方法
- 前置きする
「ちょっと大事なことを話したいんだ」 - 自分の気持ちを正直に伝える
「これを話すのはすごく勇気がいるし、不安なんだ」 - 具体的に簡潔に伝える
「実は、○○という性癖があるんだ」 - 相手の反応を急かさない
「すぐに答えを出さなくていいから、ゆっくり考えてね」
さらに、「相手にどうして欲しいか」も伝えると誤解が減ります。
例:
「これを一緒に楽しんで欲しいわけじゃなくて、まずは理解してほしいんだ」
伝えるときのNG例
- 酔った勢いで告白する
- 相手を試す気持ちでぶつける
- 過度に詳しく語りすぎる
- 脅す・泣きつく・同情を誘うように言う
パートナーの反応をどう受け止めるか
よくある3つの反応
- 受け入れてくれる:「驚いたけど大丈夫だよ」
- 戸惑う:「ちょっと考えさせて」
- 拒絶する:「正直それは受け入れられない」
対応のポイント
- 受け入れられた場合 → 感謝を伝え関係を深める
- 戸惑われた場合 → 無理強いせず時間を与える
- 拒絶された場合 →「性癖=あなた全体の否定」ではないと理解する
具体例:
「あなたが好きなのは変わらないけど、その性癖には付き合えない」 →関係は継続できることも多い
また、「相手が拒絶した場合」は「相手に嫌悪感を持たせたくなかったから話せなかった自分」を労うことも大切です。
カミングアウト後の関係構築
性癖以外の共通点・楽しみを大切にする
性癖だけでなく、趣味・価値観・日常の楽しみを増やすことで「性癖=関係のすべて」になりにくくなります。
性的なすり合わせの工夫
- 相手が許容できる範囲で「ソフト版」を試す
- 性癖にこだわらない他の性の楽しみ方を見つける
- カップルセラピーやカウンセリングを活用する
具体例:
- 「激しいSMは無理でも、軽いアイマスクプレイならOK」
- 「露出プレイは無理でも、人目の少ない場所でイチャイチャするならOK」
話し合いの習慣をつくる
性癖の話題だけでなく「普段から率直に思いや希望を言い合える関係」に育てておくと、今後の心の負担が減ります。
専門家に相談するメリット
- 性癖に詳しい心理カウンセラーや医師が第三者的に整理をサポート
- パートナーとの対話法を練習できる
- 罪悪感や自己否定感が和らぐ
- 必要なら2人でのカウンセリングも可能
プライバシーは厳守されるため安心して相談できます。
おわりに
性癖は「異常」でも「恥」でもありません。
むしろ「自分を理解し、大切にするヒント」と考えることができます。
焦らず、無理せず、少しずつ自分との関係・パートナーとの関係を整えていきましょう。
性癖は誰にでもあるもの。時に我慢も必要ですが、ゆっくり歩み寄ってみてください。