周りの友達は異性の話で盛り上がっているのに、自分はどこかついていけない。恋愛について話す場面になると、急に居心地が悪くなる。好きになるのは同性かもしれない….あるいは、誰かを「恋愛対象」として意識すること自体があまりない。
そんなとき、ふと「私っておかしいのかな?」という不安が湧いてくるかもしれません。でも、その気持ちはごく自然なものです。
人は「自分は少数派かもしれない」と感じたとき、不安になったり、自信をなくしたりすることがあります。特に10代〜20代の時期は、自分自身を見つめるタイミングでもあり、他人との違いに敏感になることも多いのです。
ですが、結論からお伝えすると、異性愛以外の恋愛感情を持つあなたも、まったく「普通」です。そのままのあなたで、ちゃんと価値があり、誰かと同じである必要なんてありません。
「普通」って誰が決めたの?
私たちがよく使ってしまう「普通」という言葉。これはとてもあいまいで、そしてとても強い力を持っています。
学校、SNS、テレビや映画。多くの場面で「男の子は女の子を好きになる」「女の子は男の子と付き合う」ことが当たり前のように描かれています。
その結果、知らず知らずのうちに「そうじゃない自分はおかしいのでは?」という気持ちが芽生えてしまうこともあります。
でも、少し想像してみてください。
もし今あなたが感じている恋愛の方向性や、誰かに惹かれる気持ちが異性愛に当てはまらないのだとしたら。
それは「異常」なのではなく、ただ「多様性の一つ」なのです。
世界中には、異性愛以外の恋愛感情を持つ人が本当にたくさんいます。LGBTQ+と呼ばれる人々の中にも様々な経験や思いが存在しています。
そして、誰もがそのままの自分を大切にしながら、日々を生きています。
自分の恋愛感情に名前をつけなくてもいい
よく、「自分がどんな性的指向なのかはっきりさせなきゃ」と焦ってしまう方もいます。
「私はバイセクシュアルなの?レズビアン?パンセクシュアル?」
答えを見つけようと一生懸命になる気持ちはとても理解できます。ですが、今すぐラベルを決める必要はありません。
恋愛感情や性的指向というのは、時に変化するものですし、人によってはずっとはっきりしないままのこともあります。
それでも問題はまったくありません。
むしろ、自分の感情にやさしく寄り添い、「今はこう感じているんだな」と認めてあげることのほうがずっと大切です。
名前をつけるよりも、「自分の本当の気持ちを無視しない」ことを大切にしてください。
カミングアウトしなければいけないの?
自分の恋愛や性のあり方に気づいたとき、次に悩むことのひとつが「周りに伝えるべきかどうか」という問題です。
でも、覚えていてほしいのは、カミングアウトは義務ではないということ。
誰にも話さなくても大丈夫です。あなたの気持ちは、あなただけのもの。
まずは、自分が安心できる場所で、自分自身を理解してあげることが最優先です。
もし「話したい」と思える信頼できる人がいれば、少しずつ伝えていくのも良いでしょう。けれど、無理に話す必要も、誰かに認めてもらう必要もありません。
あなたの大切な心の領域は、あなたが守っていいのです。
心ない言葉に傷ついたときの対処法
「気のせいじゃない?」「そんなの変だよ」「ちゃんと異性を好きになった方がいい」そんなふうに言われて傷ついた経験がある人もいるかもしれません。
ですが、そういった言葉は、相手が知識不足だったり、視野が狭かったりするだけのことも多いのです。
他人の価値観であなたのあり方を否定される必要はありません。
どうか心ない言葉に振り回されず、あなた自身の気持ちを信じてください。
自分を大事にできる人こそが、人にも優しくなれます。そして、あなたの存在そのものが、同じように悩む誰かの勇気になるかもしれません。
似た気持ちを持つ人とつながってみる
「自分ひとりだけが変なのではないか」と孤独を感じているなら、似たような思いを抱える人とつながってみるのもおすすめです。
最近では、SNSやLGBTQ+の相談窓口、安心して話ができるカウンセリングルームなども増えています。
そうした場では、他の人の経験を知ることで「こんなにたくさんの人がいるんだ」と安心できることも多いです。
ただし、ネット上のやりとりには注意も必要です。
安全な環境か、信頼できる人かどうかをしっかり見極めながら、無理のない範囲で交流してください。
あなたの気持ちが少しでも軽くなるような場所を選ぶことが大切です。
「普通」を超えて、自分を受け入れる
世の中には、いろんな「普通」があります。それは、時代や地域、文化によってもまったく異なります。
だからこそ、「みんなと同じじゃなきゃいけない」という思い込みから、あなた自身を解放してあげてください。
あなたの感じ方、生き方、恋愛の仕方は、すべてに意味があります。
他人の基準ではなく、自分の中にある「しっくりくる感覚」を大切にしていいのです。
それが、心の健康を守る一番のカギでもあります。
さいごに
異性愛に当てはまらないことで、「自分はおかしいのでは」と悩んでいるあなたへ。その感情は、決して間違いではありません。
そして、あなたはまったく「変」でも「異常」でもありません。
自分を無理に変える必要も、誰かの期待に合わせる必要もありません。あなたは、あなたのままで大丈夫です。
この世界には、いろんな人がいて、いろんな形の愛があり、それぞれに尊重される価値があります。
どうか自分自身を受け入れることから、少しずつはじめてみてくださいね。
あなたの歩む道に、温かな理解とサポートがそっと寄り添いますように。