彼氏(パートナー)と性の価値観が合わない…と悩んだ時に知ってほしいこと

パートナーと性に関する価値観が合わないと感じたことはありますか?

たとえば、私は頻度が少なくていいのに相手はもっと求めてくる、相手の誘いを断ると申し訳なさや罪悪感でいっぱいになる、自分の欲求はなかなか伝えられない….

このような悩みを抱える人は決して少なくありません。

性はとても個人的で繊細な話題です。だからこそ、パートナーとの「ズレ」を感じるとき、戸惑いや孤独を感じてしまいがちです。

この記事では、産婦人科医かつ心理カウンセラーの視点から、「性の価値観が合わない」と感じる理由と、そこにどう向き合えばいいかを、やさしく丁寧に解説していきます。

性の価値観が合わないってどういうこと?

そもそも「性の価値観が合わない」とは、どんな状態を指すのでしょうか。

多くの場合、以下のようなズレや違和感を指しています。

  • 性交の頻度についての認識の違い
  • 求めるタイミングが違う
  • 性交の意味合いが違う(スキンシップ重視 vs 性欲重視など)
  • 求める行為や内容への好みの違い

これらは決して「誰かが間違っている」という話ではありません。

人にはそれぞれの性欲、気分の波、心身のコンディション、過去の経験があり、それが影響して価値観ができあがっています。

なぜ性のズレがつらく感じるのか?

性に関する価値観の違いがつらいと感じる理由は、単なる「意見の違い」ではないからです。

性は、心の深い部分とつながっているため、ズレを感じると次のような感情が出てきます。

  • 「愛されていないのではないか」と不安になる
  • 「我慢しないといけないのでは」と感じる
  • 「私はおかしいのかも」と自己否定が出てくる
  • 「相手に合わせるのがつらい」と感じてしまう

つまり、性の問題は、自己肯定感や信頼関係にまで関わってくるのです。

あなたが悪いわけではない

まず、大前提として知っておいてほしいのは「性の価値観が合わない=あなたが悪い」ということでは決してない、ということです。

自分を責める必要はありません。

性に関する考え方や感じ方には個人差があります。

それは性別の違い、ホルモンの影響、人生経験、トラウマ、メンタルの状態などさまざまな要因に影響されているからです。

その違いを否定するのではなく、「違いがあること」を前提に、どうすり合わせていくかが大切なのです。

コミュニケーションの大切さ

性の価値観がズレていると感じたとき、一番大事なのは「話すこと」です。

ですが、いきなり「性のことを話す」のはとても勇気がいりますよね。

以下のようなステップで、少しずつコミュニケーションを進めていくと安心です。

①まずは自分の気持ちを整理する

  • 私はどう感じているのか
  • どうして悩んでいるのか
  • 何が嫌で、何は大丈夫なのか

自分の気持ちや希望を、ノートに書き出してみましょう。

頭の中だけで考えるとモヤモヤが整理できません。

紙に書くことで「伝える準備」ができます。

②落ち着いた雰囲気で話す

パートナーに話すときは、お互いがリラックスしているときがベストです。

感情的になりやすいタイミング(直後や断った後など)は避けましょう。

「最近、自分の気持ちを大切にしたくて考えてることがあるんだ」

そんなふうに、やさしく切り出してみましょう。

③責めずに伝える

「あなたが悪い」「合わせてほしい」と伝えるのではなく、「私はこう感じている」という自分目線の表現を心がけてください。

たとえば

  • 私は、ちょっと気持ちの準備に時間がかかるタイプみたい
  • スキンシップは嬉しいけど、性行為までいくと疲れてしまうことがある

など、自分を主語にして話すことで、相手も受け取りやすくなります。

解決策は「一致」ではなく「理解」

性の価値観が違っていたとしても、必ずしも「どちらかが相手に合わせる」必要はありません。

大切なのは、相手の感じ方や考え方を理解しようとする姿勢です。そして、「どうすればふたりにとって心地よい形になるか」を一緒に探ることです。

たとえば、

  • 性交の代わりにマッサージやハグなど、安心感を共有する時間を増やす
  • 頻度について、お互いの折り合い点を探る
  • 必要であれば第三者(カウンセラーや医師)を交える

というように、正解はひとつではありません。

産婦人科・心理の専門家に相談していい

性に関する悩みは、ひとりで抱え込まなくていいのです。

産婦人科では、身体の違和感だけでなく、性にまつわる不安や悩みについて相談できる場所です。

また、心理カウンセラーや性に詳しい専門職に話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。

「こんなことで相談していいのかな…」と悩む人が多いですが、実際には多くの方が同じような不安を抱えて受診しています。

あなたの気持ちは、ちゃんと尊重されるべきものです。

さいごに

性に関する悩みは、とても繊細で、誰にも相談できずに一人で悩んでしまいやすいテーマです。

ですが、「性の価値観が合わない」と感じるのは、パートナーシップを築いていくうえで自然なことでもあります。

あなたが抱えているその気持ちは、決しておかしいことではありません。

大切なのは、自分の感覚を否定せず、少しずつでいいので、相手と対話していくことです。

もし今、つらい気持ちがあるなら、専門家に相談するという選択も考えてみてください。

あなたの心と身体が、少しでも軽くなりますように。