性行為のあとに下腹部が痛くなる、吐き気や頭痛がしてぐったりする、これって病気?我慢して大丈夫?……こんな不安を感じている方へ。
性行為のあとに体調不良が起こると、驚いたり心配になったりしますよね。
でも、実はこれには明確な原因がある場合が多く、きちんと対処すれば防げることもあります。
この記事では、産婦人科医の立場から、 性行為後の腹痛・子宮の痛み・吐き気・頭痛などの体調不良について、 その原因・見極め方・対処法まで、誰にでもわかるように解説します。
性行為後の体調不良はよくある
性行為後に体調が悪くなる、という経験は、実は珍しくありません。
特に女性は子宮や腸、膀胱などが骨盤内に密集しており、 性交渉によって刺激が強すぎると、違和感や痛みが起こることがあります。
「恥ずかしくて言えない」「我慢すべき」と考えず、 まずは「よくあること」と捉えることが第一歩です。
よくある症状とその特徴
性行為後によく見られる体調不良には、以下のようなものがあります。
- 下腹部痛・子宮の鈍痛(チクチク・ズキズキする感じ)
- 吐き気・胃のムカつき
- 頭痛や倦怠感
- 出血(性交後出血)
- 排尿時の違和感・痛み
- 全身の疲労感
それぞれ原因が異なり、放っておくと悪化することもあるため、注意が必要です。
痛みや不調の原因一覧
性行為後の不調には、いくつか代表的な原因があります。
子宮の過収縮や圧迫
膣の奥まで刺激されると、子宮が収縮して痛みを引き起こすことがあります。 特に体位によっては子宮口に強く当たるため、鈍痛や違和感が起こりやすくなります。
脱水・低血糖
激しい性行為のあとに水分不足や血糖値の低下があると、吐き気や頭痛が出やすくなります。
感染症(膀胱炎・子宮頸管炎・クラミジアなど)
痛みや吐き気、熱っぽさがあるときは、性感染症や膀胱炎が隠れている可能性も。
子宮内膜症や筋腫
慢性的な下腹部痛がある方は、婦人科疾患の影響が出ていることがあります。
心因性(緊張・不安・トラウマ)
性行為に対する不安や過去の嫌な経験が、身体症状として現れることもあります。
病気が隠れているサインの見分け方
以下のような症状がある場合は、病気が隠れている可能性があるため、 早めに婦人科や泌尿器科を受診してください。
- 毎回のように性行為後に強い腹痛がある
- 出血が繰り返しある
- 発熱、悪寒、吐き気が数時間以上続く
- 匂いの強いおりものが出る
- 性交中に激しい痛みがある
これらは、子宮頸管炎・骨盤内感染症・性病などが疑われるサインです。
自宅でできるケア方法
性行為後の不快な症状に対して、自宅で試せるケア方法をいくつかご紹介します。
腹痛・子宮痛への対処法
温かいタオルやカイロを当てる:
下腹部に温かいタオルやカイロを当てると、筋肉の緊張がほぐれ、血流が改善されて痛みが和らぐことがあります。
入浴:
ぬるめのお湯(38-40度程度)にゆっくり浸かることで、全身の血流が促進され、痛みが軽減することがあります。
リラックスした姿勢:
膝を曲げて横になるなど、腹部に負担がかからない姿勢をとりましょう。
市販の鎮痛剤:
痛みが強い場合は、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が効果的なことがあります。ただし、定期的に使用する場合は医師に相談してください。
頭痛への対処法
休息:
静かな暗い部屋で横になり、目と脳を休めましょう。
水分補給:
脱水も頭痛の原因となるため、十分な水分を摂りましょう。
冷湿布:
こめかみや首の後ろに冷たいタオルを当てると、血管の収縮を促し、痛みを和らげることがあります。
市販の頭痛薬:
痛みが強い場合は、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛剤が効果的なことがあります。
吐き気・気分不良への対処法
深呼吸:
ゆっくりと深呼吸をすることで、自律神経のバランスを整え、吐き気を和らげることができます。
生姜:
生姜茶や生姜入りのお菓子は、吐き気を抑える効果があると言われています。
水分補給:
少量ずつこまめに水分を摂りましょう。一度に大量に飲むと、吐き気が悪化することがあります。
横向きの姿勢:
吐き気がある場合、左側を下にして横になると楽になることがあります。
繰り返す場合は受診を検討しよう
「毎回のように性行為後に具合が悪くなる」
このような場合、何らかの疾患があるサインかもしれません。
- 子宮内膜症、子宮筋腫、クラミジア感染など
- ホルモンバランスの乱れ
- 膀胱・腎臓系の異常
恥ずかしがらず婦人科へ相談することで早期発見・治療につながります。
心因性の影響も見逃さない
身体に明らかな異常が見つからないのに、体調が悪くなる。
そんなときは、心の状態もチェックしてみましょう。
- 性行為に対してどこか不安や緊張がある
- パートナーとの関係にストレスを感じている
- 性的な経験にトラウマがある
心理的なストレスは、吐き気や頭痛、腹痛といった症状として出ることがあります。
カウンセリングや信頼できる相手との対話も、立派な治療のひとつです。
まとめ
性行為後の腹痛や不調は、誰にでも起こり得るものです。
我慢すれば治ると考えず、 体のサインにはしっかり耳を傾けてあげてください。
症状が続く場合や不安がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
あなたの体と心、どちらも大切にしてあげてください。