「今月もまた、生理が来る日がわからない……」「急に来たらどうしようって、いつも不安になる」…生理周期が毎回バラバラだと、日常生活に支障が出るだけでなく、精神的なストレスも大きいですよね。
特に10代〜20代の女性にとっては、学校や仕事、人間関係など様々な変化の中で、自分の体のリズムが乱れると、戸惑いや焦りを感じることが多いと思います。
この記事では、産婦人科医であり心理カウンセラーの立場から、生理周期が不規則になる原因や対処法について、やさしい語り口でわかりやすくお伝えしていきます。
毎月の不安を少しでも軽くし、あなた自身のリズムと向き合っていけるよう、一緒に考えてみましょう。
「正常な生理周期」には個人差がある
まず知っておきたいのが、「正常な生理周期」とは決して“ピッタリ同じ日”に来ることではないということです。
一般的には、
- 生理周期は25〜38日程度
- 出血の期間は3〜7日
- 周期がほぼ一定で、多少のズレはOK
といった目安があります。
ただ、実際には2〜3日程度のズレはよくあることです。
毎月全く同じ日に来る人の方が少ないくらいで、数日の違いは正常範囲とされています。
しかし、以下の場合、何らかの原因が隠れている可能性があるので注意が必要です。
- 周期が毎回極端に違う
- 生理が2ヶ月以上来ないことがある
- 出血量が大きく変わる
生理周期がバラバラになる原因
ホルモンバランスの影響
生理はホルモンのリズムによってコントロールされています。特にエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが大きな役割を果たしています。
これらのホルモンの分泌は、ストレスや生活習慣の影響を受けやすく、少しの変化で周期がずれることがあります。
寝不足、過労、不規則な食事、感情の起伏など、日常生活にある「ちょっとしたこと」が大きく影響しているのです。
心理的ストレスやプレッシャー
学生なら試験や進路、社会人なら仕事や人間関係、家族とのトラブルなど、ストレスの原因はさまざま。
心理的な緊張状態が続くと、脳の視床下部(ホルモン分泌の司令塔)の働きが乱れ、排卵がうまくいかなくなります。
「なんだか最近忙しいな」「心がざわざわすることが多いな」と感じるときは、体も反応しているかもしれません。
体重変動・過度なダイエット
急激に痩せたり太ったりすると、体は妊娠に適していないと判断し、排卵を止めてしまうことがあります。
特に、極端な食事制限や運動をともなうダイエットをしている場合、生理が止まったり周期が大きく乱れたりするケースが多く見られます。
体重だけでなく、「栄養バランス」も大切です。体はとても正直なのです。
疾患によるもの(PCOSなど)
婦人科系の疾患が隠れている場合もあります。
中でも多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、若い女性に多く、ホルモンバランスが崩れ排卵障害が起こりやすくなります。
周期の乱れに加えて、体毛の増加やニキビ、体重増加がある場合は、早めに婦人科で相談することをおすすめします。
いつ来るかわからない不安とどう向き合う?
生理が予測できないと、旅行の予定や学校・仕事のスケジュールにも影響してきますよね。
- また突然来たらどうしよう……
- ナプキンをいつも持ち歩かないと不安
そんな日常のストレスを少しでも軽くするためには、以下のような心構えや工夫が役立ちます。
自分を責めないこと
まず、「私の体はおかしいのかも」と自分を責めないこと。
生理不順は特別なことではなく、多くの人が経験していることです。
「不安定な時期なんだな」「体がSOSを出しているのかも」と、まずは自分にやさしく声をかけてあげてください。
小さな変化に目を向ける
周期がバラバラでも、「どんなときに遅れやすいのか」「体調の変化はあるか」など、自分の体に関心を持ってみましょう。
日記をつける、基礎体温を測る、アプリで記録する……など、自分のリズムを把握する手段はたくさんあります。
周期を整えるためにできる生活習慣
毎朝の基礎体温チェック
基礎体温をつけると、自分の排卵の有無やリズムがわかります。
排卵があると体温が高くなり、低温期・高温期の波が見えてくるはずです。
アプリと連携してグラフ化すると、視覚的にもわかりやすく、変化に気づきやすくなります。
ストレスケアとリラックス
- 深呼吸や瞑想を取り入れる
- 好きな香りや音楽で気持ちを落ち着ける
- 寝る前のスマホは控える
小さな工夫でも、脳とホルモンのバランスを整えるサポートになります。
食事と栄養の見直し
- 鉄分(レバー、赤身肉)
- ビタミンB群(玄米、納豆)
- 亜鉛(牡蠣、ナッツ)
- 大豆イソフラボン(豆腐、豆乳)
これらの栄養素はホルモンバランスを整えるのに大切です。
ファストフードばかりになりがちな人は、少し意識してみましょう。
適度な運動習慣
激しい運動ではなく、ゆっくりしたヨガやストレッチ、20分のウォーキングなどが効果的です。
体を動かすことで血流がよくなり、自律神経やホルモン分泌も整いやすくなります。
低用量ピルという選択肢
生理周期を安定させたいと考える方にとって、「低用量ピル」という方法もあります。
低用量ピルは、少量の女性ホルモンを含む薬で、排卵を抑え、ホルモンのリズムを一定に保つ働きがあります。
これにより、生理の周期が安定しやすくなり、「いつ来るかわからない」という不安を減らすことができます。
また、ピルには以下のような副効果もあります:
- 生理痛の軽減
- 出血量の安定
- ニキビやPMS(生理前症候群)の緩和
ただし、体質や持病によっては使用できないこともありますので、必ず婦人科で相談し、医師の指導のもとで使用しましょう。
毎日決まった時間に飲む必要があるため、ライフスタイルに合っているかどうかも一緒に考えてみてください。
婦人科を受診する目安
以下のような症状がある場合は、一度婦人科を受診しましょう。
- 生理が3ヶ月以上来ない
- 周期のズレが毎回10日以上
- 出血量が多すぎる・少なすぎる
- 生理痛が強く、日常生活が困難になる
婦人科に行くことは、恥ずかしいことではありません。
あなたの体と未来を守る大切な一歩です。
さいご
「またズレた……」「どうして私だけ?」
そんなふうに感じる日は、きっと誰にでもあります。
でも、あなたは決して一人ではありません。
この記事を読んで、「不安な気持ちと向き合っていいんだ」と感じていただけたなら、それがとても嬉しいです。
あなたの体は、あなたの味方です。
無理をせず、自分を大切にして過ごしてくださいね。
少しずつで大丈夫。その一歩が、きっと未来の安心につながっていきます。