性行為中・性行為後の痛みのない出血(茶色・ピンク色・鮮血)の原因と対策

痛みを伴わない性行為中や性行為後の出血は、多くの方が経験することがあります。

色も茶色やピンク色、鮮血など様々で、心配になることもあるでしょう。

この記事では、そのような出血の一般的な原因と対処法について分かりやすく説明します。

出血の種類と特徴

性行為に関連する出血は、色や量によって原因が異なることがあります。

  • 茶色の出血
    古い血液が酸化したもので、少量のことが多い
  • ピンク色の出血
    新しい血液と分泌液が混ざったもの
  • 鮮血(明るい赤色)
    新しい出血で、量が多いこともある

一般的な原因

膣の乾燥

膣が十分に潤っていないと、性行為中に膣壁に小さな傷ができ、出血することがあります。

なぜ起こるのか?

  • ストレスや疲れ
  • ホルモンバランスの変化(更年期など)
  • 十分な前戯がない
  • 薬の副作用
  • 特定の時期の生理周期

対処法

  • 潤滑剤を使用する
  • 十分な前戯の時間を取る
  • 水分をしっかり摂る

子宮頸部の敏感さ

子宮頸部(子宮の入り口)は血管が多く、刺激に敏感な部分です。深い挿入などで子宮頸部に触れると、軽い出血を起こすことがあります。

なぜ起こるのか?

  • 激しい性行為
  • 特定の体位(特に深い挿入になるもの)
  • 子宮頸部のポリープなど

対処法

  • 体位を工夫する
  • 挿入の深さに注意する

生理の前後

月経周期の変化によって、性行為後に少量の出血が見られることがあります。特に生理の直前や直後は、子宮内膜がはがれやすくなっています。

なぜ起こるのか?

  • ホルモンレベルの変動
  • 子宮内膜の状態変化

対処法

  • 生理周期を記録して、出血パターンを把握する
  • 出血が予測できる時期は、必要に応じて性行為を控える

排卵期の出血

排卵期(生理と生理の間)に軽い出血がある「排卵出血」が起こることもあります。この時期に性行為をすると、その出血が増えることがあります。

なぜ起こるのか?

  • 卵子が卵巣から放出される際のホルモン変化
  • 子宮内膜の一時的な変化

対処法

  • 排卵日を把握しておく(通常は次の生理の約14日前)
  • 心配な場合は産婦人科に相談する

感染症

性感染症(STI)や膣感染症によって、性行為時や性行為後に出血することがあります。

考えられる感染症

  • クラミジア
  • 淋病
  • トリコモナス症
  • カンジダ症(いわゆる「カンジダ」)
  • 細菌性膣症

症状の特徴

  • 出血以外に、異常なにおいのある分泌物
  • かゆみや痛み
  • 排尿時の痛み

対処法

  • 医師の診察を受ける(自己判断は避ける)
  • パートナーも検査を受けることが望ましい
  • 処方された薬を指示通りに服用する

子宮頸部の異常

子宮頸部に異常があると、接触による出血(接触出血)が起きやすくなります。

考えられる状態

  • 子宮頸部びらん
  • 子宮頸部ポリープ
  • 子宮頸部炎症

対処法

  • 定期的な婦人科検診を受ける
  • 子宮頸がん検診を受ける
  • 医師の指示に従って治療する

避妊方法との関連

特定の避妊方法が出血の原因になることがあります。

考えられるもの

  • 低用量ピル(特に服用開始直後)
  • 緊急避妊薬(アフターピル)使用後
  • 子宮内避妊具(IUD)装着時や装着後

対処法

  • 医師に相談し、別の避妊方法を検討する
  • 出血が続く場合は診察を受ける

妊娠初期の出血

妊娠初期に起こる着床出血が、性行為後の出血と混同されることがあります。また、妊娠初期は子宮頸部の血流が増加するため、性行為で出血しやすくなることも。

特徴

  • 通常は少量で、ピンク色や茶色のことが多い
  • 生理予定日の前後に起こることが多い

対処法

  • 妊娠の可能性がある場合は妊娠検査を行う
  • 出血とともに腹痛がある場合は早めに医師に相談する

いつ医師に相談すべきか

次のような場合は、医師への相談を検討しましょう:

  • 出血が続く場合
    性行為後24時間以上続く出血
  • 出血量が多い場合
    生理用ナプキンやタンポンがすぐに濡れる程度
  • 痛みを伴う場合
    腹痛や性交痛を伴う出血
  • 繰り返し起こる場合
    毎回の性行為後に出血する
  • 不正出血がある場合
    性行為と関係なく不規則な出血がある
  • 閉経後の女性
    閉経後の女性に起こる性行為後の出血は、必ず医師に相談を

予防と対策

性行為に関連する出血を減らすためのアドバイスをいくつか紹介します:

コミュニケーションを大切に

パートナーと体の状態や気持ちを共有し、痛みや不快感があれば遠慮なく伝えることが大切です。性行為のたびに出血する場合などでは性感染症の可能性も否定できないため、一緒に病院を受診するようにしましょう。

十分な潤滑と優しい性行為

痛みがなくても膣内が傷ついて出血することがあります。それは摩擦が原因になることが多いので、水性の潤滑剤を使用したり、前戯の時間を十分に取ることで解消されるケースがあります。また、特に初めての場合や久しぶりの場合は慎重に、強い刺激や激しい動きを避けるようにしましょう。

定期検診

出血が続く場合には婦人科の病気の可能性も考えられます。そうでなくても病気というのは基本的に早期発見・早期治療が重要になってきますので、年に一度は婦人科検診を受けるのがよいでしょう。子宮頸がん検診も定期的に受けることを検討しておきましょう。

清潔さを保つ

出血するとそこから細菌感染などさらなる健康被害が起こりうる可能性があります。防ぐためにも、性行為の前後に外陰部を優しく洗うととも、シャワーなどで体を清潔に保つようにしましょう。

まとめ

 性行為中や性行為後の出血は、様々な原因で起こります。多くの場合は深刻なものではありませんが、続く場合や大量の場合、痛みを伴う場合は医師に相談することをおすすめします。

自分の体の状態を知り、パートナーとコミュニケーションを取りながら、お互いを尊重した関係を築くことが大切です。

何か心配なことがあれば、恥ずかしがらずに信頼できる医師に相談してください。あなたの健康が最も大切です。