急に性欲が湧かなくなった、性欲がなくなってきた気がする

前はもっと欲があったのに、最近はまったく湧かない…..恋人とのスキンシップも、なんとなく避けたくなる…..このまま一生性欲が戻らなかったらどうしよう…..

そんなふうに、急な性欲の変化に戸惑い、不安を感じていませんか?

性欲は心と体の状態に密接に関わっているため、日々のストレスやホルモンのバランス、対人関係の変化など、さまざまな影響を受けます。

この記事では、産婦人科医であり心理カウンセラーでもある立場から、「なぜ急に性欲がなくなるのか?」という疑問にやさしく答え、解決の糸口を一緒に探っていきます。

性欲の低下は、恥ずかしいことでも、あなたが悪いわけでもありません。

まずはその気持ちに寄り添いながら、原因と向き合い、必要なケアをしていきましょう。

性欲が急に低下するのはよくあること?

性欲は波があるのが自然

性欲は、常に一定ではなく、日や季節、ライフステージによっても揺れ動くものです。

たとえば、

  • 生理周期の変化
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 環境ストレス
  • 人間関係の摩擦

こうしたことが重なると、一時的に性欲が弱まるのはとても自然な反応。

むしろ「性欲がなくなった」と感じたときこそ、心と体が何かを教えてくれているサインなのかもしれません。

急な性欲の低下によくある原因とは?

ホルモンバランスの変化

女性の性欲は、エストロゲンやテストステロンといったホルモンの分泌と密接に関わっています。

  • 排卵期を過ぎると性欲が落ち着く
  • 更年期やプレ更年期でホルモンが不安定になる
  • ピルや薬の影響

こうした身体の変化が性欲の減退に繋がることもあります。

特に30代後半以降の女性では、気づかないうちにホルモンの分泌が変わってくることが多いです。

心理的ストレスや疲労

過労、不安、睡眠不足、人間関係の悩みなど、心が疲れているときに性欲が落ちるのは自然なことです。

性欲は「安心して楽しめる状態」でなければ、自然と湧きにくくなります。

とくに完璧主義の方や責任感が強い人ほど、無意識に心が緊張状態になっていて、性欲どころではない状態に陥っているケースも少なくありません。

パートナーとの関係性

恋愛や夫婦関係において、

  • 喧嘩が多い
  • スキンシップが減った
  • 相手の態度に不満がある

そんなとき、無意識に「触れられたくない」という気持ちが性欲低下として現れることもあります。

「心が冷めた」わけではなく、「疲れている」や「距離が近すぎる」ことが原因な場合もあります。

性欲がなくなっても無理に戻そうとしなくていい

今は「そんな時期」かもしれない

性欲がない=異常、ではありません。恋愛や性的な欲求は、心の余裕があるときに芽生えるもの。

忙しかったり体調が安定していない時には、欲が湧かないのも当然です。

まずは「今の私はそういう状態なんだ」と一旦受け入れてあげましょう。そうすることで、逆に気持ちがほぐれ、自然と性欲が戻ってくることもあります。

自分を責めると逆効果

  • 性欲がない私は変なのかな
  • パートナーをがっかりさせてるかも

そんなふうに自分を責めてしまうと、ますます心が萎縮し、本来の欲求すら感じにくくなります。

性欲は、義務でも義理でもありません。「自分のペースを大事にしていい」と思えるだけで、安心感が生まれ、性欲の芽がまた育ち始めます。

性欲が戻ってくるためにできること

体の状態を整える

  • 栄養のある食事
  • 十分な睡眠
  • 軽い運動やストレッチ

これらは性欲を育てる「土台」となる部分です。

特に鉄分不足やホルモンの乱れがあると、慢性的な疲労感につながり、性欲どころではなくなる場合もあります。

気になる場合は婦人科でのホルモンチェックもおすすめです。

ストレスとの付き合い方を見直す

心の状態が整っていなければ、性欲は自然と湧きにくくなります。

  • 忙しすぎない?
  • 心を許せる人と話してる?
  • ちゃんとひとりの時間を取れてる?

「余白」があることは、性欲の回復にもつながる大事な要素です。

無理なく自分の感覚を取り戻す

性欲を無理に「高めよう」としなくても大丈夫です。

  • 音楽を聴く
  • アロマでリラックスする
  • 好きな服を着る

そんな「五感を満たすこと」が、自分の感覚を呼び戻すスイッチになることも多々あります。

少しずつ、自分を丁寧に扱うことからはじめてみてください。

病気の可能性はあるの?

一時的な性欲の低下なら、心配はいらないことがほとんどです。

ただし、以下のような場合は、一度婦人科や心療内科で相談してみることをおすすめします。

  • 何ヶ月もまったく性欲が湧かない
  • 体の不調(無月経、体重変動など)がある
  • 気分の落ち込みが続く
  • パートナーとの関係が深刻なストレスになっている

性欲の低下が、うつ病、ホルモン異常、甲状腺の異常などのサインであることも稀にあります。

「おかしい」と思った時点で受診することは、自分の心身を守る大切な選択です。

パートナーにどう伝えたらいい?

「最近なんか元気がないけど、どうしたの?」

そんなふうに聞かれても、性欲の話はなかなかしづらいもの。

でも、あなたの変化を感じ取っている人がいるなら、それは「心配してくれている」証です。

  • 無理に触れ合うのがしんどいときは、そのまま伝える
  • 体調や気分が落ちていることだけでも言葉にする
  • 「今はそっとしておいてほしい」と優しく伝える

そうやって、少しずつでも自分の感覚を共有できれば、相手との信頼関係も深まります。

大切なのは、「理解してもらうために話す」ことよりも、「自分の感情を大事にする」ことです。

おわりに

性欲の波は、あなただけが感じているわけではありません。

「急に性欲が湧かなくなった」とき、それは心と体が「ちょっと休もう」と言っているのかもしれません。

そんな時こそ自分を責めず、思いやりを持ってケアしてあげてください。

性欲は、心が整っていけば自然と戻るもの。

焦らず、今の自分にやさしく寄り添っていくことで、本当の意味での「性との向き合い方」が見えてくるはずです。

あなたの感覚は、間違っていません。

そして、そのままのあなたには、十分に愛される価値があります。